小規模多機能居宅介護における30日ルールとは
小規模多機能居宅での宿泊サービスを利用する際に、「30日ルール」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
小規模多機能には、それぞれのサービスの利用に日数制限がないという特徴があります。それにもかかわらず「30日ルール」が存在する理由が気になりますよね。
30日ルールは利用日数に関係する制度ではないのですが、その名前から「理解しにくい」と感じている方もいらっしゃることと思います。
本記事では、小規模多機能型介護における「30日ルール」について、深掘りしてご紹介していきます。
小規模多機能の30日ルールについて理解を深めて、小規模多機能居宅介護のサービスをより効率的かつ便利に利用しましょう。
小規模多機能とは
まずは小規模多機能居宅介護の特徴を見ていきましょう。
小規模多機能居宅介護とは、介護保険制度による地域密着型サービスのひとつです。
小規模多機能居宅介護では、「通所・訪問・宿泊」の3つのサービスを、ひとつの介護事業所から包括的に提供してもらうことができます。また、月額定額制で利用回数に制限がないのも特徴のひとつです。
小規模多機能の利用で30日ルールが関係してくるのは、どのような場合なのでしょうか。
一般的に小規模多機能は、訪問介護をメインで利用しながら通所と宿泊を取り入れるといった使い方をされることが多いようです。
しかし退院直後や介護者の事情など、小規模多機能の利用中であっても、ショートステイを連日利用する必要が出てくる場合もあります。このような場合に重要になるのが、30日ルールです。
小規模多機能居宅介護についての詳細は、以下の記事にまとめています。
小規模多機能における30日ルールの概要
小規模多機能における30日ルールの概要について見ていきましょう。
30日ルールとは、宿泊サービス(ショートステイ)を利用する際の訪問診療サービスに関連する決まりのことです。また、30日ルールの対象者は、宿泊サービスであるショートステイを利用する際に、訪問診療サービスを受ける必要がある方です。
30日ルールの具体的な内容としては、ショートステイを利用しながら訪問診療サービスを受けたいときには、ショートステイの利用前30日以内に、自宅にて訪問診療サービスを受けていることが必要という内容が挙げられます。
つまり、長期にわたって施設で療養生活を送られている方がショートステイで訪問診療サービスを受けるためには、一旦自宅へ帰って訪問診療サービスを受けなければならないといったケースが出てくるというわけです。
小規模多機能でのショートステイの利用が短期間や単発であれば、訪問診療サービスに関する条件についてはあまり意識しなくてもよいかもしれませんね。しかし小規模多機能で長期的に宿泊サービス(ショートステイ)を利用する場合には、30日ルールを守るように留意する必要が出てくるといえるでしょう。
令和2年度の診療報酬改定では30日ルールが緩和された
30日ルールについて、令和2年度の診療報酬改定にて一部のルールが見直されました。
これまでは医療機関から退院であっても30日ルールの条件を守る必要がありました。しかし30日ルールの見直しによって、「医療機関から退院した日から宿泊サービスを使い始めた場合であれば、30日ルールで自宅での訪問診療サービスを受けていなくても、訪問診療サービスを受けることが可能」となったのです。
以下、厚生労働省の資料からの抜粋です。
退院直後に小規模多機能型居宅介護又は看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)を利用する医療的なニーズの高い患者について、自宅への生活へスムーズに移行できるよう、宿泊サービス利用開始前30日以内の訪問診療の算定がない場合においても訪問診療を行うことを可能とする。
引用元:令和2年度診療報酬改定の概要
医療機関から退院した場合であれば、宿泊サービスを長期利用することになっても、一度自宅に戻る必要なく訪問診療サービスを受けることが可能となりました。
医療機関から退院された方以外の場合は、これまで同様の30日ルールが適応されます。
ショートステイの単体利用では30日ルール以外のルールも必要になる
小規模多機能でのショートステイではなく、ショートステイのサービスを単体で利用する場合でも30日ルールを守る必要があります。
そしてショートステイ単体の利用では、30日ルールに加えて「利用期間に関するルール」も守る必要が出てきます。
具体的な内容は、ショートステイ単体の利用では連続30日を超えて利用することができないという決まりです。連続30日を超えてショートステイ単体でサービスを利用する場合には、全額自己負担での利用となります。また、ショートステイを1か月間で利用できる日数については、要介護度ごとに決まりが定められています。
このように、利用期間のルールは「連続30日」という内容なので、30日ルールと似ていて分かりにくいと感じられる方も多いでしょう。
しかし利用期間のルールは、30日ルールとは別の内容であることを理解する必要があります。「30日ルール」は宿泊サービス利用者が訪問診療を受ける方すべてに適応されますが、「利用期間のルール」が適応されるかどうかは、小規模多機能での宿泊サービスの利用なのか、単体での利用なのかによって変わってきます。
小規模多機能における30日ルールについてまとめ
本記事では、小規模多機能における30日ルールについてまとめました。
小規模多機能では、在宅診療を受けながら宿泊サービスや通所サービスを受ける方が多いため、長期的な宿泊サービスを受ける方は少ないかもしれません。
しかし何かしらの理由によって、小規模多機能で長期的に宿泊サービスを利用する場合には、30日ルールについてよく理解しておくことが重要といえるでしょう。
また、ショートステイ単体利用における「利用期間のルール」との違いについても理解しておくことで、小規模多機能における30日ルールをより理解しやすくなるのではないでしょうか。