住宅型有料老人ホームの特徴と適正を知ってベストな施設を選択しよう
住宅型有料老人ホームとは、要介護度が「自立」や「要支援」の比較的元気な高齢者を受け入れる施設です。施設を検討するにあたって、「本当に住宅型有料老人ホームが、家族に適切な施設なのか」見極めに迷ってはいませんか?
住宅型有料老人ホームの特徴や適性を知れば、「まだまだ元気だけれど、一人暮らしが心配」「人との関わりの場を作ってあげたい」などの悩みを解決することができますよ。
本記事では、住宅型有料老人ホームの特徴や向き・不向き、費用や似ている施設を解説します。施設を選ぶ際の参考にしてください。
住宅型有料老人ホームの4つの特徴
住宅型有料老人ホームとは、民間事業者が運営する介護施設です。主に生活支援サービスを中心に提供し、介護サービスの必要性が生じた場合には外部の介護事業者を利用します。以下、特徴を確認していきましょう。
特徴1:バリアフリー設計で充実した設備
住宅型有料老人ホームは、バリアフリー設計で充実した設備を備えていることが特徴です。施設によって設備の内容は変わりますが、介護が必要な方でも快適な生活ができるよう工夫がされています。
快適に入浴できるよう介護浴室が備えられていたり、居住スペースの段差を極力少なくしたり。車椅子がスムーズに通れるよう廊下の幅も広く設計され、寝室の近くにトイレが設置されていることもあります。床にもこだわり、滑りにくい素材を使って、安全に配慮していることが特徴です。
特徴2:イベント・レクリエーションが豊富
住宅型有料老人ホームは、イベントやレクリエーションが多く開催されます。自立の方や要介護度が低い方が多く入居しているためです。入居者同士がコミュニケーションを取るきっかけにもなるため、毎日の生活に潤いを与える事ができます。
家族参加型のイベントを企画したり、外部のボランティアを招いたりする施設もあり、施設外の方と関わりを持てる機会も。すし職人・そば職人を招いたりマグロの解体ショーを行ったりする施設もあるため、施設のホームページやパンフレットで確認してみましょう。
特徴3:生活支援サービスに重点を置いている
住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスに重点を置いています。介護・リハビリサービスは外部の業者に委託する必要があり、施設からデイサービスに通ったり訪問介護を利用したりするケースもあります。
食事や居室の掃除・洗濯などのほか、緊急時の対応や近隣医療機関との提携などの健康管理サービス、日常生活全般の生活相談などを行います。住宅型有料老人ホームは看護師の配置義務がないため、医療サービスの提供の有無は施設によってさまざま。必要に応じて訪問看護を利用したり医療機関を受診したりすることもあります。
特徴4:入居条件の幅が広い
住宅型有料老人ホームは、入居条件の幅が広いことも特徴のひとつです。入居条件として、「60~65歳以上」、「自立~要介護5」としている施設が多いですが、介護サービスは外注する必要があるため要介護度が高いと割高になります。
要介護度や認知症、医療ケアが必要な方に関する条件も施設によってさまざまで、同じ条件下で一方の施設では入居ができなかった場合でも、もう一方の施設では入居が認められることがあります。もちろん施設の条件を満たせば、自立した方でも入居が可能です。
住宅型有料老人ホームが向いている方
どのような方が住宅型有料老人ホームに向いているのかを考えていきましょう。ご家族に当てはまる項目がないかチェックしながら、住宅型有料老人ホームの魅力を知ってください。
人との交流を楽しみたい方
住宅型有料老人ホームは、人との交流を楽しみたい方におすすめです。イベントやレクリエーションなど上記したほかにも、サークルや同好会などを楽しめることもあります。
囲碁やお花、カラオケやゴルフなど施設独自の取り組みをしている場合もあるため、見学や体験の際に確認してみましょう。もともとの趣味を極めるのもよいですが、新たな生きがいを見つけることができるかもしれませんよ。
ある程度自立していて介護サービス費用をおさえたい方
住宅型有料老人ホームは、ある程度自立していて介護サービスをおさえたい方にもおすすめです。要介護度が低い方は、必要最低限の介護サービスを利用すればよいため、介護付き有料老人ホームより費用を抑えることができるからです。
お住まいの地域や施設・設備によって費用は変わります。将来的に介護が必要になったことを考えたうえで予算が許すなら、本来介護サービスにかかるべき費用を施設のグレードアップにあてても良いでしょう。
趣味や自分の時間を充実させたい方
趣味や自分の時間を充実させたい方には、住宅型有料老人ホームが向いているといえます。住宅型有料老人ホームは、介護サービスは外部の業者に委託する必要がありますが、その他の食事の支度や掃除・洗濯といった生活に関わるサービスは提供してくれるからです。
これまで生きていくうえで行う必要があった食事の支度や掃除・洗濯といった煩わしさから解放され、その時間を「自分のため」「自分が好きなように」使うことができます。気持ちに余裕ができるため、人とコミュニケーションをとることが楽しくなったというケースも。
住宅型有料老人ホームが不向きな方
住宅型有料老人ホームは、上記のようなさまざまなサービスを提供してくれるため多くのメリットがありますが、その特徴がデメリットになることもあります。どのような方に住宅型有料老人ホームが不向きなのかも合わせて確認しましょう。
要介護度が高い方
要介護度が高い方は、住宅型有料老人ホーム以外の施設を検討した方が良いでしょう。住宅型有料老人ホームは、介護サービスを外部の業者に委託する必要があるからです。外部サービスをたくさん利用すると、介護サービスの自己負担限度額を超えることがあり、超えた部分は全額自己負担になります。
よって要介護度が高い方が住宅型有料老人ホームを利用すると、介護付き有料老人ホームより費用が高くなってしまうということも。要介護度が高い利用者様が多く集まる施設を検討する事をおすすめします。
充実した介護サービスを求める方
充実した介護サービスを求める方にも、住宅型有料老人ホームは不向きと考えられます。住宅型有料老人ホームは、施設長1名の配置以外に人員配置基準が設けられていないためです。
健康状態が比較的良い利用者様を想定しているため、施設ごとに必要人数を配置すればよいということになっています。夜間も充実した介護サービスを必要とする場合には、介護付き有料老人ホームを検討しましょう。ただし、施設によって人員の配置基準が異なるため、直接確認してみることをおすすめします。
住宅型有料老人ホームの費用
住宅型有料老人ホームは、入居一時金の支払いを済ませたうえで月額費用を負担することが一般的です。施設によっては入居一時金が0円というところも。詳細を確認していきましょう。
0円~数千万円の入居一時金
住宅型有料老人ホームの入居一時金は、0円~数千万円と幅があります。入居一時金は日本人の平均余命をもとに、入居者様の「想定居住期間」から賃料やサービス料などを前払いする仕組みのため、入居一時金が0円という施設では月額費用が割高になることも。
入居一時金には、「想定居住期間」を超えた部分の賃料も含まれているため、平均余命より長生きしたからといって追加の支払いが発生することはありません。こうした賃料や敷金の名目で支払う一時金は、算定の根拠や返戻金の計算式・短期解約特例などについても明示されているため、契約前にしっかり確認しましょう。
サービス費や食費を含む月額費用
月額費用には、住宅型有料老人ホームでのサービス費のほか食費・水道光熱費などが含まれます。外部の業者に介護サービスを委託している場合には、利用したサービス分だけ追加の費用を負担することになります。
外部に委託分のサービス費以外(住宅型有料老人ホームでのサービス費、食費、水道光熱費など)は、毎月固定のため入居前に概算を知ることができるでしょう。その他にも、施設によって消耗品代やレクリエーション参加費用などが含まれることがあります。施設独自のサービスを提供していることもあるため、施設に確認してみましょう。
よく似た施設との比較
似た施設と比較することで、住宅型有料老人ホームの特徴が理解しやすくなります。以下を参考に、ご家族によりベストな施設を選択してください。
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違い
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いを表にしました。住宅型有料老人ホームの場合は、自立の人でも入居が可能です。
比較対象 | 介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム |
入居対象者 | 要支援~要介護 | 自立~要介護 |
入居一時金 | 0円~数千万円 | 0円~数千万円 |
食事 | 提供 | 提供 |
緊急時対応 | 提供 | 提供 |
介護サービス | 提供 | 外部の業者に委託 |
介護サービスの提供方法が異なる点が介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの大きな違いです。施設によっては、敷地内に病院や介護サービス提供業者が併設されていることもあります。施設選定の時点に、介護が必要か否かによって検討するのも一つの方法です。
サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームの違い
サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームの違いを表にしました。どちらも比較的身体状況が良好な方を対象としています。
比較対象 | サービス付き高齢者向け住宅 | 住宅型有料老人ホーム |
入居対象者 | 主に自立した高齢者 | 自立~要介護 |
入居一時金 | 0円~数百万円 | 0円~数千万円 |
食事 | 提供 | 提供 |
緊急時対応 | 提供 | 提供 |
介護サービス | 外部の業者に委託 | 外部の業者に委託 |
居室面積 | 25㎡以上 | 13㎡以上 |
介護サービスの提供方法はどちらも変わりありませんが、大きな違いは契約形態と居室面積です。サービス付き高齢者向け住宅は、建物賃貸借契約を結ぶのに対して、住宅型有料老人ホームは終身利用権方式をとっています。またサービス付き高齢者向け住宅は、居室が広く、入居一時金が退去時に返却されることが一般的です。
住宅型有料老人ホームに入居するまでの手順
申し込みから入所までは以下の手順をたどります。近年高齢者向け住宅は高い入居率を維持し、厚生労働省の調査によると80%以上の施設がほとんどです。早めに準備を整えておく事をおすすめします。
- 入居申込書を提出する:施設によっては、この時点で一時入居金が必要になることも。
- 職員との面談:身体状況についてのヒアリング。健康診断書が必要。
- 審査・結果通知:1週間前後の審査を経て、入居の可否が決定。
- 契約書の締結・入居:この時点で入居一時金・月額料金について確認を。
希望する住宅型有料老人ホームにスムーズに入居するためには、入居者様ご本人の希望を明らかにしておくことが重要です。満室を想定して、複数ヶ所の施設候補を検討しておくことをおすすめします。
入居後をイメージして施設を検討しよう
住宅型有料老人ホームは、終の棲家として長期入居が可能な施設です。現状自立していてある程度自分のことができる高齢者なら、住宅型有料老人ホームで人との交流や自分の趣味を満喫するのも良いでしょう。
しかし介護が必要になった場合には、外部の業者に委託する必要があります。気になる施設が見つかったら見学をして、入居後のイメージを描くことも大切です。入居者様本人の意見にも耳を傾けながら、適切な施設を選びましょう。