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特定施設入居者生活介護とは?詳細を知れば施設選定に活用できる

施設を選ぶ際に、「特定施設入居者生活介護」という言葉を聞いたことはありますか?「特定施設入居者生活介護」とは、厚労省が設けた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスのことです。

この基準を詳しく知ると、特定施設入居者生活介護の有無が施設選定時の判断材料として使えることがありますよ。本記事では、特定施設入居者生活介護の概要、厚労省が設ける基準、特定施設を利用するメリット・デメリットや向き不向きについて解説します。詳細を知って施設選定に活用してください。

特定施設入居者生活介護ってなに?

特定施設入居者生活介護について、概要や種類・入居対象者、対象となる施設について詳しく見ていきましょう。

基準を満たした施設で受けられる介護保険サービスのこと

特定施設入居者生活介護とは、厚労省が設ける基準を満たした施設で受けられる介護サービスのことです。特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設は、「介護付き」と名乗ることができ、施設を探す立場からは基準を満たした施設であるという判断基準になります。

具体的には有料老人ホームや一部のサービス付き高齢者住宅などが対象となり、定額制で介護サービスを提供します。24時間介護サービスが受けられるため大変人気です。

特定施設入居者生活介護の種類と入居対象者

特定施設入居者生活介護には種類があり、それぞれの入居対象者は以下のようになっています。

種類 入居対象者
特定施設入居者生活介護 介護専用型 要介護1~5の方
混合型 自立・要支援1~2/要介護1~5の方
地域密着型特定施設入居者生活介護 施設と同じ市区町村に住民票がある要介護1以上の方
介護予防特定施設入居者生活介護 要支援1~2の方

地域密着型は入居定員数が30人未満の施設で、「お住まいと施設が同じ市区町村」という条件があります。介護予防特定施設入居者生活介護は、特定施設に入居する方に介護予防を目的として提供されるサービスです。要介護認定の度合いによって入居可能な施設が変わります

特定施設入居者生活介護の対象となる施設

特定施設入居者生活介護の対象となる施設は以下の4種類で、「介護付」と表記できるのは、特定施設の指定を受けた施設のみです。

  • 有料老人ホーム
  • 一部のサービス付き高齢者向け住宅
  • ケアハウス(軽費老人ホーム)
  • 養護老人ホーム

近年老人ホームの増加に伴い、特定施設入居者生活介護の指定に対して総量規制がされています。特定施設入居者生活介護を受けている施設は、安全性・安定性・継続性の面で安心して利用できますが、指定を受けられない質が高い施設も多く存在します。サービスやクオリティを見て総合的に判断しましょう。

施設によって介護サービスの提供方法に違いがある

介護サービスの提供方法は施設によって違いがあり、施設スタッフが介護サービスを提供する「一般型」と、外部事業所に介護サービスを依頼する「外部サービス利用型」があります。

多くの施設では一般型を採用しているため、馴染みのスタッフから介護サービスを受けることが可能です。仮に外部サービス利用型でも、介護サービス以外の生活相談やケアプランの作成、安否確認は入居する施設で行うため、不安がある場合には事前に施設に確認しましょう。

厚生労働省が規定する基準

特定施設入居者生活介護の指定を受けるためには、厚生労働省が設ける一定の条件を満たす必要があります。人員基準や施設基準、運営基準について細かく見ていきましょう。

1:専門職を備えた「人員基準」

人員基準として、専門職を含むスタッフが以下のように定められています。

職種 割合
管理者 1人(兼務可)
生活相談員 要介護者等:生活相談員=100:1
看護・介護職員 ①要支援者:看護・介護職員=10:1

②要介護者:看護・介護職員=3:1

*看護職員は、要介護者30人までは1人、30人以上は50人ごとに1人。

機能訓練指導員 1人以上(兼務可)
計画作成担当者 介護支援専門員1人以上(兼務可)

機能訓練指導員とは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を持つ人です。特定施設のなかには、より細やかな介護サービスを実践するために、看護・介護職員を「2:1」のように定めているケースも。しかし「サービス加算」として請求されることが一般的であるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

2:安全に生活するための「施設基準」

利用者様がより安全に快適な生活ができるよう、以下のような施設基準が設けられています。

部屋 基準
居室 原則個室 ・プライバシーの保護に配慮、介護を行える適 当な広さ ・地階に設けない 等 。
一時介護室 介護を行うために適当な広さ。
浴室 身体の不自由な者が入浴するのに適したもの。
便所 居室のある階ごとに設置し、非常用設備を備える。
食堂・機能訓練室 機能を十分に発揮し得る適当な広さ。
施設全体 利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造。

居室に関しては、施設の形態によって広さが異なります。たとえば、有料老人ホームは13㎡に対してサービス付き高齢者向け住宅25㎡です。「施設基準」が設けられている部屋は日常的に利用することが多いため、入居前に実際に確認しておくことをおすすめします。

3:一定したサービスを受けるための「運営基準」

施設の運営基準は以下のように定められています。

提供サービス 基準
サービス計画 利用者様に合ったサービス計画を作成する。
利用申込時の同意 入居前には施設の概要・職員体制など重要事項を説明し、同意を得る。
入浴サービス 自力での入浴が困難な場合には、2回/週以上の頻度で入浴/清拭を行う。
職員教育 サービスの資質向上のために研修の機会を設ける。
家族・地域連携 家族・地域との連携を十分にとる。

利用者様の急変時に備えて「協力医療機関を定めておくこと」も、努力目標とされています。新規開設の施設はもちろん、すでに運営している施設でも条件をクリアすれば特定施設入居者生活介護の指定にエントリーすることは可能です。しかし上記した自治体の総量規制により、条件を満たしていても指定を受けられないことがあります。

特定施設入居者生活介護の自己負担額

特定施設入居者生活介護の自己負担額は、介護保険の適応です。厚生労働省によると、1日あたりの1割負担のケースについては以下の通りです。

要介護度 利用者負担額(1割)
要支援1 180円
要支援2 309円
要介護1 534円
要介護2 599円
要介護3 668円
要介護4 732円
要介護5 800円

一定以上の所得がある方は、利用負担は2割負担・3割負担になります。また施設によって加算が付くこともあるため、確認しておきましょう。このほかにも、施設入居費用・食費・おむつ代など日常生活費が必要です。なお、外部サービス利用型においても同額です。

特定施設を利用するメリット・デメリット

特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設を利用する際の、メリットとデメリットを確認していきましょう。施設選定の際の判断材料になります。

基準を満たしたサービスに安心できる点が最大のメリット

特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設なら、基準を満たしたサービスを提供してくれるため、安心して生活できる点がメリットです。利用者様にとって具体的に以下のメリットが挙げられます。

  • 要介護度が変わったり認知症を発症したりしても転居の必要がない
  • 職員が24時間365日常駐。
  • 介護体制が整っている。
  • 介護サービスを定額で受けられる。

特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設なら、介護職員か看護職員が常駐するため、深夜や緊急時でも対応が可能です。施設によっては、基準以上の介護体制を敷いていることも。

介護サービスが必要ない方には割高なのがデメリット

特定施設入居者生活介護は、介護サービスが必要ない方には割高です。入居時に利用者様は、「介護サービスが提供されることが前提」として費用を支払う仕組みになっているからです。

また「これまで通っていたデイサービスやデイケアにどうしても通いたい」という場合には、介護保険で利用ができないため、全額自己負担で通わなければなりません。介護サービスを必要としない方、馴染みの施設がある方などは、サービスを利用した分だけ支払う施設の方が安くなることがあります。

特定施設の利用をおすすめしたい方

特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設には、以下の方がおすすめです。ご家族や利用者様が、「施設にどのようなサービスを求めるのか」を再度確認していきましょう。

介護の必要性がある方

特定施設は、介護の必要性がある方におすすめです。特定施設入居者生活介護は、入居者様それぞれのケアプランに沿って、食事・入浴・排泄などを介助してもらえるからです。

家族・本人の怪我のリスクを負って在宅で生活をしていた方でも、プロの手を借りることによってリスクを回避できると同時に、ご家族の負担を軽くすることができます。複数のスタッフの目に触れることで、利用者様の体調変化にも気付きやすくなるでしょう。

可能な限り自立した生活を望む方

可能な限り自立した生活を望む方にも、特定施設はおすすめです。自立を望む方には希望に沿ったケアプランを作成してくれるため、過度に介入されることはありません。

スタッフは、外出や受診など日常生活において利用者様が不安な時に声掛けをし、適度な距離感で見守ってくれます。利用者様に不得意な行動や場面があれば、事前に施設側に話しておくと安心です。

介護サービス費用を抑えたい方

特定施設は、介護サービス費用を抑えたい方にもおすすめです。特定施設の利用費用は介護保険の対象となるため、自己負担額を軽減することができます

お住まいの地域や提供されるサービス内容によって金額に差があるため、事前に確認しておきましょう。現状在宅介護サービスを利用している場合には、料金だけで判断するのではなく、時間・介護の負担などさまざまな角度から判断することをおすすめします。

特定施設入居者介護指定の有無は施設選定の基準になる

特定施設入居者生活介護は、厚労省が設ける基準を満たした施設で受けられる介護サービスを指します。費用が定額でスタッフが24時間常駐していることから、介護の必要性がある方でも安心して生活ができます。

昨今は特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設でも、プラスαの特徴や工夫を備える施設が増えました。施設選定の際には、特定施設入居者生活介護を一つの基準として見学をしてみてはいかがでしょう。

 

 

 

 

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