要介護認定とは?要介護度別の特徴とサービス利用までの流れをご紹介
介護保険サービスを利用したいと思っても、「要介護認定について分からない」「どのように手続きしたら良いか分からない」と不安を持つ方もいるでしょう。要介護認定について知ると、サービスを利用するまでに必要な行動が分かるため、スムーズに手続きを済ませることができます。
本記事では、要介護認定の基本的な知識、認定からサービスを受けるまでの流れをご紹介します。
要介護認定とは
要介護認定を受けると、対象となる方の収入により1~3割の自己負担額で介護サービスを受けることができます。以下、要介護認定についての基本的な内容を把握しましょう。
介護の必要度を表す指標
要介護認定とは、「介護の必要度」を表す指標です。日常生活でどの程度介護が必要かを客観的に判断し数値化したもので、介護保険サービスを利用する際に必要になります。
要介護度(介護の必要度)によって自己負担額や利用できるサービスに違いが生じるため、対象となる方の状況と専門家の意見をもとに要介護度が決定されます。
健康状態によって要介護・要支援に分類される
要介護認定は、健康状態によって「要介護・要支援」に分類されます。認定には、「身体機能・生活機能・認知機能・精神/行動障害・社会生活への適応」の5項目がチェックされ、介護の必要度を判断します。
それぞれの違いは以下の通りです。
要介護 | 要支援 |
運動機能・思考力・理解力の低下 | 基本的に一人での生活が可能 |
日常生活で介護が必要な状態 | 日常生活で部分的な介護が必要 |
介護サービスが利用可能 | 介護予防サービスが利用可能 |
要介護はすでに「介護が必要な状態」であるため、「介護サービス」が提供されます。
要介護認定によって介護保険制度が適用対象となる
要介護認定の判定を受けると、介護保険制度の適用対象になります。上の表からも分かる通り、対象となる方が具体的にどの程度の介護が必要で、どんな介護サービスを受けられるかが明らかになります。
介護保険サービスを利用できる条件は、「65歳以上で介護が必要と認められた場合」「40歳以上で病気が原因で介護・支援が必要になった場合」です。介護保険制度は高齢者と家族の生活を支えるためにある制度なので、必要性を感じたら迷わず申請することをおすすめします。
要介護のレベルは5段階に分けられる
要介護認定では、要介護では5段階、要支援では2段階に分類されます。数値が大きくなるほど介護度が重くなり、介護に必要な時間、介護者の負担が大きくなることを表しています。
要介護と判断された場合には、対象となる方のレベルを確認し、必要なサービスを見極める必要があります。要介護の場合、レベルによって状態に差があることから、数ある介護サービスから自分に合った介護サービスを選別しなければなりません。
表で見る「要介護度別のちがいと特徴」
要介護認定について基本的な内容を理解して頂いたところで、それぞれ要介護度別のちがいと特徴を確認しましょう。
表1:要介護度別の健康状態
厚生労働省の資料を参考に作成した要介護度別の健康状態は以下の通りです。介護度が重くなるにつれて、より介護が必要になることが分かります。
要介護度 | 健康状態 |
要支援1 | 基本的な日常生活は一人で可能だが、掃除や洗濯などに何らかの介助や見守りが必要。 |
要支援2 | 食事やトイレは一人で可能だが、立ち上がり・歩行時など複雑な動作に何らかの支えが必要。 |
要介護1 | 食事は一人で可能だが、トイレや入浴に介助が必要。理解力の低下がみられる。 |
要介護2 | 食事・トイレ・入浴に手助けが必要。理解力の低下がみられる。 |
要介護3 | 起き上がり・寝返り・入浴・トイレ・着替えに介助が必要。 |
要介護4 | 生活全般に介助が必要となり、認知機能の低下が見られることも。 |
要介護5 | 生活全般に全面的な介助が必要となり、認知機能の低下が見られることも。 |
要支援は、食事やトイレ、入浴などの日常生活が基本的に一人で可能な状態です。要介護は日常生活で何らかの介助が必要となります。要支援では、要介護に移行しないよう、介護予防サービスを受けることが可能です。
表2:要介護度別の利用限度額
介護保険制度を利用してサービスを受ける際には、要介護度別に利用限度額が設けられています。施設サービスの費用は、個室や多床室など住環境によって異なるため、ここでは居宅サービスを利用する際の1カ月当たりの利用限度額を確認しましょう。
要介護度 | 利用限度額 |
要支援1 | 50,030円 |
要支援2 | 104,730円 |
要介護1 | 166,920円 |
要介護2 | 196,160円 |
要介護3 | 269,310円 |
要介護4 | 308,060円 |
要介護5 | 360,650円 |
要介護度が高くなるにつれて、利用限度額も高くなることが分かります。利用限度額を超えてサービスを利用した場合には、全額自己負担です。
注意:自己負担割合は所得で異なる
利用限度額と一緒に確認しておきたいのが自己負担割合です。介護サービスは、基本的に1割負担で利用できます。デイサービスの利用料金が1万円だったとしたら、利用者様が実際に支払う金額は1,000円ということになります。
しかし対象者となる方に一定以上の所得がある場合には、所得に応じて自己負担割合は2割、3割になることも。要介護認定と自己負担割合は毎年見直されるため、対象となる方の収支を確認しておきましょう。
要介護認定を受けるには
要介護認定を受けるために、申請に必要なものと申請窓口、申請後の手順を確認しましょう。事前知識として知っていると、スムーズに審査を受けられますよ。
申請に必要なものを準備する
要介護認定を申請する際には以下のものを準備しましょう。
- 介護保険要介護・要支援申請書
- 介護保険の被保険者証
- マイナンバー通知書(申請書記入に使用)
- 健康保険の保険証(65歳以下の場合)
要介護認定の申請は無料です。申請書は市区町村のホームページからダウンロードができ、主治医や病院名などを記入するため、対象となる方の受診の状況を事前に整理しておきましょう。書類を作成する際に印鑑が必要です。
申請は市区町村の窓口で行う
要介護認定の申請は、市区町村の窓口で行います。本人が申請することが難しい場合、家族でも代理申請が可能です。介護をしている家族ではなく、対象となる方が住んでいる市区町村の窓口になるため、注意しましょう。
本人・家族が申請できない場合には、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者に代行してもらうことも可能です。市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。
申請から認定までの流れ
市区町村の窓口に要介護認定の申請をすると、以下の流れをたどります。認定まで約1ヶ月の期間を要するため、早めの申請をおすすめします。
①訪問調査が行われる
申請後にまず行われるのは訪問調査です。訪問調査は市区町村の職員や法人職員、介護事業者やケアマネージャーなどが「認定調査員」として聞き取りを行います。
対象となる方の心身状態や日常生活、住まいや環境についてのヒアリングが行われ、家族が同席することも可能です。状況を正確に伝えるために、伝えたいことを事前にメモしておくと良いでしょう。認定調査員が正確な情報を得られれば、的確な要介護認定が受けられ、快適なサービスを利用することにつながります。
②主治医が意見書を作成する
訪問調査が終わると、主治医が意見書を作成します。市区町村が主治医に書類作成依頼をするため、本人や家族が直接関わる必要はありません。かかりつけとなる病院・主治医がいない場合には、市区町村が指定する医師の診察を受ける必要があります。
要介護認定を受けた後にも、更新ごとに診察を受ける必要があるため、健康に自信がある方でもかかりつけ医を作っておくことをおすすめします。
③一次判定(コンピュータ)・二次判定(介護認定審査会)が行われる
上記した訪問調査と主治医が作成した意見書をもとに、内容をコンピュータに入力して一次判定を行います。その後一次判定の結果と特記事項などを考慮して、二次判定(介護認定審査会)で専門家が話し合い、認定に至ります。
二次判定(介護認定審査会)では、要介護のレベル(要介護認定区分)も判定されるため、訪問調査の際に対象となる方の状況をそのまま伝えましょう。具体的に「どのような場面で介護が必要か」「一日でどれくらいの時間を介護に充てるのか」などが話せると有効です。
④認定結果が郵送される
介護認定審査会で判定が出ると、認定結果が郵送されます。認定のレベルは上記したように、自立・要支援~要介護まで8区分です。
要介護度は、対象となる方の身体状況に比例するわけではありません。あくまでも介護サービスの必要度を判定するため、非該当(自立)と判定されることもあります。認知症や問題行動で介護に必要な時間が長い場合は、要介護度が重くなることがあります。
⑤サービスの利用手続きをする
認定結果郵送後、サービスを利用する場合には以下の手続きをしましょう。「要支援1・要支援2」の方は、地域包括支援センターで介護予防サービス計画書を作成してもらいます。以下、「要介護1~5」の認定を受けた方のサービス利用方法をご説明します。
自宅でサービスを受けるケース
要介護1~5の認定を受けた方が自宅でサービスを受ける場合には、以下の流れをたどります。
- 居宅介護事業者を選定する。
- 担当のケアマネージャーにケアプランを作成してもらう。
- サービスを利用する。
居宅介護事業者は、都道府県の指定を受けた「居宅介護支援事業者リスト」から選定します。選び方が分からないときには、市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談することも可能です。希望するサービスがある場合には、事前に伝えましょう。
事業者との契約は、家族が無断で進めることができません。本人に判断能力がない場合以外は、必ず本人が行う必要があります。
介護施設でサービスを受けるケース
要介護1~5の認定を受けた方が介護施設でサービスを受ける場合には、以下の流れをたどります。
- 介護施設を選定して連絡する。
- 担当のケアマネージャーにケアプランを作成してもらう。
- サービスを利用する。
介護施設を選定する場合には、見学・体験をすることをおすすめします。施設の雰囲気をつかむと同時に、本人に見合ったサービスが提供されているかを確認しましょう。
要介護認定を受けて快適な生活を維持しよう
要介護認定は、要支援・要介護に分類され、毎月の利用限度額、利用できるサービスが異なります。身体状況や生活環境を正確に伝えて、適切なサービスを受けることが快適な生活につながります。
要介護度が重くなると、介護に充てる時間も長くなり家族の負担が大きくなるばかりではなく、本人の意思疎通が困難になることも。日常生活で「介護が必要だ」と感じたら、認定までの時間を考慮して早めに申請手続きをしましょう。