介護に必要なおむつ交換をマスターしてより快適な生活を営む方法
徐々に要介護度が高くなると、必要に迫られるのがおむつ交換です。おむつ交換の頻度やタイミングによっては、漏れやかぶれなどのトラブルを引き起こすことがあるため、コツを覚えておくと介護が少し楽になりますよ。
本記事ではおむつの選び方からおむつ交換の手順、コツまでを網羅しました。経験を重ねて「自分なりのルール」をみつけることができれば、お互いにより快適な生活を営むことができるでしょう。
在宅介護で使用するおむつはどれを選べばいい?
おむつを選ぶときには、要介護者が「どのような状態にあるか」をチェックして選択することが大切です。常に寝たきりで立てない方なら、ベッド上でおむつ交換をしなければなりません。立った姿勢を維持できる方なら、トイレで交換することも可能です。
おむつの基本的な使い方
大人のおむつは赤ちゃんのおむつとは異なり、おむつ(アウター)と尿取りパッド(インナー)を組み合わせて使用するのが一般的です。おむつ自体に汚染がなければ、パッドを交換する方が楽で経済的だからです。
おむつ(アウター)はオープンタイプ・パンツタイプ・2WAYタイプが主流で、なかには布製のホルダーパンツもあります。尿取りパッド(インナー)は、おむつ(アウター)に合うものから選択することになりますが、サイズや吸収量は商品によってそれぞれ異なります。ベッド上のおむつ交換を想定したオープンタイプは、要介護者の身体状況がさまざまであることから種類が豊富です。
寝たきりならオープンタイプがおすすめ
要介護者が寝たきりの状態なら、オープンタイプのおむつと尿取りパッドを使用しましょう。漏れが心配だからといって、尿取りパッドを複数枚使用することは避けてください。かぶれや床ずれの原因になります。
尿取りパッドを引き抜く際には、おしり側から抜きましょう。おしり側から抜くことで、陰部から菌が入る「尿路感染症」を予防できます。便を片付ける場合には、横向きで交換すると、シーツの汚れを防げます。
立っておむつの上げ下ろしができるなら紙パンツタイプ
要介護者が立っていられるなら、おむつの上げ下ろしができる紙パンツタイプを検討しても良いでしょう。紙パンツの上げ下ろしは要介護者に行ってもらい、尿取りパッドは介護者が介助する方が衛生的です。
紙パンツ本体が汚れていた場合には、サイドを破って紙パンツを外します。足から紙パンツを脱がせる必要がないため、お互いに慣れるとスムーズにできるようになります。要介護者の羞恥心に配慮しながら、「足りない部分を配慮する」気持ちで寄り添いましょう。
抵抗がなければ男性用尿取りパッドを使用するのも〇
抵抗がなければ、男性用尿取りパッドを使用してもよいでしょう。パンツタイプの尿取りパッドは基本的に男女兼用ですが、なかには男性用の尿取りパッドが販売されています。
男性用の尿取りパッドは、尿漏れを防いで楽にパッド交換ができるメリットがありますが、圧迫感・不快感が強いという要介護者側のデメリットも。完璧に基本に従う必要はないため、要介護者の身体状況や生活状況に応じて、いろいろと試して合うものを探しましょう。
おむつ交換に必要なものと手順
介護に使用するおむつの種類について理解したら、事前に準備すべきものと具体的な手順について確認していきましょう。
事前に準備すべきもの
おむつ交換には、以下のものを事前に準備するとスムーズです。
- 介護用エプロン・手袋
- トイレットペーパー
- 陰洗用ボトル(ペットボトルで代用可)
- タオル
- 石鹸
- 新しいおむつ・尿取りパッド
- 新聞紙
陰洗用ボトルは、ペットボトルのキャップに複数箇所穴を開けます。手持ちのシャワーが完成したら、ぬるま湯を入れて使用しましょう。新聞紙は、要介護者の下に敷いてベッドや布団が汚れるのを防ぎます。
はじめはゆっくり正確に
慣れるまでは、「ゆっくり正確に」を心がけましょう。以下の工程なら効率的におむつ交換ができます。
- 介護者が動きやすいベッドの高さに調整し、古いおむつのテープを外す。
- 古いおむつは要介護者の下に敷いたまま、陰洗用ボトル・石鹸・タオルを使用して、洗浄・清拭を行う。
- 要介護者の膝を立てて横向きにし、古いおむつの片側を丸めながら新しいおむつを差し込む。
- 要介護者を逆の横向きにし、古いおむつを抜きながら新しいおむつを適切な位置に整える。
洗浄・清拭の際には、ともに性器→肛門にかけて行いましょう。新しいおむつには、尿取りパッドを事前にセットしておくことを忘れずに。状況に応じて新聞紙やビニール袋を使用して、清潔を保ちましょう。
失敗を防ぐコツと便利グッズ
おむつ交換をしていると、失敗したり要介護者が不快感を訴えたりする場面が出てくるでしょう。おむつ交換をより快適にするために、以下のコツ・便利グッズを参考にしてください。
排尿の頻度と体に合ったおむつを利用する
おむつを快適に使用するためには、排尿の頻度と体に合ったサイズを利用するようにしましょう。漏れやかぶれを起こすと、床ずれを誘発することがあります。
おむつはS~LLとサイズ展開があり、「薄型」や「長時間用」など尿量や用途によって豊富な選択肢があります。昼間は「薄型」夜は「長時間用」など何種類かのおむつを使い分けしても良いでしょう。
またおむつを交換した際にサイドのひだをしっかり立てることを忘れずに。体位変換時の横漏れを防ぐことができますよ。
防水シーツを利用して布団の汚れを防ぐ
「おむつの漏れが気になる」「体位変換が多い」などの場合には、防水シーツを利用することを検討しましょう。布団やマットレスは、洗濯・交換が難しく、替えを準備できないことがあります。
万が一の対策として防水シーツが敷いてあれば、布団やマットレスに汚れが染みることがありません。介護者の負担軽減だけではなく、要介護者にとっても心理的な負担を軽減する効果が期待できます。防水シーツには、使い捨てタイプや小さめタイプもあるため、使い勝手のよいものを選びましょう。
使わなくなった布をおしりふきに利用する
使わなくなった布は、ぜひおしりふきに利用しましょう。毎回タオルを洗濯するのは大変ですが、「いらなくなった布」ならそのまま廃棄できます。おしりふきだけではなく、手を拭いたりこぼしたものを拭いたり、いくらでも活用が可能です。
タオルにこだわらず、着なくなった肌着やTシャツは、使いやすいサイズにカットしてストックしておきましょう。「布がいくらでも使える」と思うと、要介護者自身も清潔に保つことを意識してくれますよ。
尿取りパッドの重ね使いはNG
おむつや尿取りパッドは重ね使いしないようにしましょう。尿量が多いという理由で重ね使いをしても、ズレてしまうことがあります。また重ねた部分は皮膚へのダメージが大きく、床ずれの原因になってしまうことも。
要介護者の使用感も悪く、「漏らしてしまうことへの恐怖感」が大きくなるため、尿量が多い場合には頻繁に尿取りパッドを交換するようにしましょう。そしておむつ交換のタイミングで、皮膚の状態をチェックする習慣をつけると皮膚トラブルの悪化を防ぐことができます。
介護でおむつを使うときに知っておきたい知識
介護でおむつを使用するときには、以下のことを知っておくと便利です。介護者が切羽詰まってしまわないよう、臨機応変に対応することを心がけておきましょう。
介護保険サービスを利用しておむつ交換が可能
在宅で介護している場合には、介護保険サービスを利用しておむつ交換ができます。1日に何度も交換するおむつは、介護者にとって負担が大きくなることがあるでしょう。たまにはサービスを利用して、「おむつ交換」と距離を置くことも大切です。以下のサービスはおむつ交換が可能なサービスです。
サービスの種類 | サービスの内容 | 夜間対応 |
デイサービス | 日中施設で、生活支援を提供してくれる日帰りのサービス | 不可 |
ショートステイ | 生活支援を提供し短期宿泊が可能なサービス | 可 |
小規模多機能型居宅介護 | 通い・訪問・宿泊の中から適宜選択して利用できるサービス | △ |
訪問介護 | スタッフが自宅に訪問して生活支援をしてくれる | 不可 |
夜間対応型訪問介護 | 夜間帯に定期的に訪問し、排泄ケアをしてくれる | 可 |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 24時間体制で、必要なケアを提供してくれる | 可 |
利用料金・サービス利用時間は、要介護度・収入によって異なります。市区町村によっても異なるため、利用の際には問い合わせてみましょう。
自治体によっては「紙おむつ助成制度」がある
自治体によっては、「紙おむつ助成制度」を設けていることがあります。毎日使用するものだからこそ負担が大きくなるため、一度自治体に確認してみましょう。
助成には条件が設けられていることが一般的で、「月額〇〇円を限度に助成」「購入の〇割相当額を助成」などの記載があります。そのほかにも、「要介護認定を受けている」「身体障害者手帳を持っている」などの適用条件を設けていることもあるため、事前の確認が必要です。
おむつ交換するときは要介護者の都合も考慮して
おむつが必要になると、介護者はおむつの交換方法やコツを習得しようとします。しかし要介護者に「可能な限り避けたい」という気持ちがあるなら、トイレでの排泄を検討することをおすすめします。
はじめは介護者に負担がかかるかもしれません。しかし要介護者が納得したうえでおむつをするようになれば、おむつ交換時に協力を得られることがあるからです。とくに身体状況の改善やリハビリによる回復が見込まれる場合には、要介護者の声に耳を傾けてみましょう。
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