ボディメカニクスの8原則とは?介護職に重宝する正しい腰痛予防を解説
職場による腰痛は他業種で発生しており、我が国での業務疾病は実に60%を占めています。
なかでも、介護や看護職といった保健衛生業では、約8割が腰痛に苦悩しながら患者さんと接しているのです。
一方、ボディメカニクスを正しく活用することで少ない力で介護ケアが行えるため、日々の腰痛予防につながります。
本記事をご覧になることで、
- ボディメカニクスの意味
- ボディメカニクスの8原則
- ボディメカニクスの注意点
- ボディメカニクスの活用例
さらに、ボディメカニクスのメリットや福祉用具の活用法がわかります。
介護・看護職の方はもちろん、ご自宅で介護をなさる多くの方々にご覧いただき、毎日の介護ケアに取り入れてみてください。
ボディメカニクスとは
身体の不自由な高齢者施設や障害者を抱えた介護現場では、要介護者の移動や移乗などで足腰を痛める方が多いのが現状です。
そうした介護現場に従事する方々に取り入れて欲しいのが、腰痛予防の「ボディメカニクス」です。
ここでは、ボディメカニクスとは何かについてわかりやすく説明します。
最小限の力で介護を行える介護技術
ディメカニズムを英語で「身体(Body)」「力学( Mechanics)」と表し、いわゆる「身体力学」をいいます。
具体的には、身体(関節や筋肉)や骨に動きの「力学関係」を上手に利用して、身体のへの負担を最小限に抑える方法です。
介護ケアにボディメカニズムを取り入れることで、介護者が最小限の力で介護ができるため腰への負担は少なくなり、同時に要介護者の身体的負担も軽減できるのです。
介護者の腰痛予防に役立つ
介護の現場では、要介護者の身体の一部を動かす作業や、食事介助のように一定の姿勢を維持する作業などがあります。
もっとも介護者の動作は、要介護者の上半身や下半身、手足の位置などによって身体的負担に違いが生じます。
ボディメカニズムを正しく利用することで、介護者は腰痛を予防でき、日常の介護業務を快適に遂行することができるのです。
ボディメカニクスの8原則
ボディメカニクスには、次のように8つの原則が規定されています。
- 支持基底面を広くする
- 重心を低くして骨盤を安定させる
- 身体を密着させて重心を近づける
- 要介護者の身体をねじらず小さくまとめる
- 身体全体の筋肉を一緒に使う
- 持ち上げずに水平移動を行う
- 身体を押さずに手前に引く
- テコの原理を利用する
これらは「テコの原理」の重力を利用したケア技術です。
介護ケアの場面に応じて、8つの方法を活用することで身体的な負担が軽減し、少ない力で作業が行えるので是非習得なさることをおすすめします。
①両足を大きく開いて支持基礎面を広くする
出典:南足利市社会福祉協議会(ボディメカニクス~基礎をもう一度)
ボディメカニズムの基本動作として、支持基底面を広くすることが大切です。
支持基底面とは、自身の体重を支えるための「床面積」を呼び、足を肩幅程度あるいは前後左右に広げることで介護者の姿勢が安定し、重たい要介護者の身体も容易に支えることができます。
また、両足を大きく開いて姿勢を安定させることで、腰や背中への負担が大幅に軽減できるため、まずは早速取り入れてみましょう。
②重心を低くして骨盤を安定させる
出典:南足利市社会福祉協議会(ボディメカニクス~基礎をもう一度)
介護者は膝を曲げて重心を低くし、さらに両足を大きく広げることで骨盤が安定して腰への負担を軽減できます。
骨盤が安定することで背骨の姿勢も整い、介護ケアに安定感をもたらします。
これは骨盤内に人間の重心があるとされ、普段から重心(腰)を低くして支持基底面を広げて介助を行うことで、腰を痛める必要もありません。
ただし、重心を高くすると介護者の腰に負担がかかり、場合によってはギックリ腰になる恐れもあるため注意しましょう。
もっとも、椅子に座った要介護者を立ち上がらせる場合、介護者自身の支持基底面を小さく保って重心を高くすることで立ち上がりがラクにできます。
③被介護者と身体を密着させて重心を近づける
出典:南足利市社会福祉協議会(ボディメカニクス~基礎をもう一度)
例えば、要介護者を車いすから立ち上がらせる場合を考えてみましょう。
この場合、要介護者と介護者の双方の身体を密着させて重心を近づけることで、より一層安定感が高まって力が伝わりやすくなります。
その際、要介護者には足を椅子側に引いてもらって「支持基底面」を小さくし、高めの椅子などに座った状態から立ち上がらせることで無駄な力も入りません。
これも重心を活用した介護方法となり、介護者自身は足を開いて支持基礎面を広くし、さらに自身の重心を低くして相手と密着(要介護者には介護者に抱きついてもらう)することがポイントです。
④要介護者の身体をねじらず小さくまとめる
出典:南足利市社会福祉協議会(ボディメカニクス~基礎をもう一度)
介護ケアでは、寝たきりの要介護者に「両腕と膝をできるだけ曲げて」もらい、身体を小さくまとめることで比較的容易に介助でき、介護者の身体的負担が軽減できます。
これは「摩擦力」を使った原理となり、要介護者が寝ている状態から動かすには非常に大きな摩擦力が働くのです。
(※摩擦力とは、物体がお互いに触れ合っている時に発生する〝抵抗〟を指し、物体同士が動こうとする際に、その動きを妨げる力をいいます。)
摩擦力が大きいほど介護者の身体的負担も大きく、腰や背中を痛める原因となります。
そのため、要介護者の身体をコンパクトにすることで「摩擦力を小さくする」必要がある訳です。
要介護者に協力してもらって、無理のない範囲内で身体を曲げてもらうことで、摩擦力も最小限に食い止められるので移乗もラクになります。
なお、摩擦力の負担は介護者だけではありません。ベッドで寝ている要介護者も最大摩擦力が働くことで床ずれの原因になるので十分な配慮が必要です。 |
そこで、「摩擦シート」を利用することで床ずれ予防にもなる他、介護者の身体的負担も少なく介助が行えます。
⑤身体全体の筋肉(大きな筋群)を使う
出典:南足利市社会福祉協議会(ボディメカニクス~基礎をもう一度)
介助に、身体の一部分の筋肉を使ってばかりいると、介護者の身体的ダメージは続き痛みも慢性化していきます。
そこで、次の身体全体の筋肉を意識して介助することで、身体的負担を抑えることができます。
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これらの筋肉は「抗重力筋」と呼ばれるもので、要介護者を立ち上がらせたり、介護者が同じ姿勢を維持する際に重要な役割を果たす筋肉です。
日頃から、筋力トレーニング運動などで体幹筋肉を整えて、身体全体の筋肉が使えるようにしましょう。
⑥持ち上げずに水平移動を行う
出典:南足利市社会福祉協議会(ボディメカニクス~基礎をもう一度)
要介護者を介護者側に移動させる場合、身体を持ち上げずに水平移動を行うことで腰への負担が軽減できます。
具体的には、要介護者に腕や足を曲げてもらい、重心を水平にスライドさせることを意識して行いましょう。
こうした水平移動は、介護者の腰痛予防につながる他にも、要介護者の身体的負担を取りのぞき、強いては怪我や介護事故を回避することにも繋がります。
注意点として、要介護者の身体の一部がベッドからはみ出てないか確認し、身体全体がベッドに横になっている状態からはじめます。
また、体勢移動の際には、要介護者に必ず声をかけながら行うことを心掛けてください。
⑦テコの原理を上手に利用する
出典:南足利市社会福祉協議会(ボディメカニクス~基礎をもう一度)
支点(物体を支える中心点)となる箇所と力点(力を加える箇所)、そして作用点(加えた力が働く点)が働く箇所を思い浮かべてケアを行うことで、わずかな力で要介護者を大きく動かすことができます。
これは、いわゆる「テコの原理」を利用して介護を行う技術です。
例えば、自身の目の前に「棒」があり、その棒のどこかに支点があり、その棒を回転させるとします。
棒の支点から離れているほうの作用点を加えると、ささいな力でも棒を回転させることがわかります。 このように、支点から遠いほうに力を加えると、小さな力でも大きな物体を動かすことが可能とした原理が「テコの原理」です。 |
要介護者の体位を仰向け(仰臥位)から横向き(側臥位)に変える場合、本人に膝を立ててもらって身体を小さくまとめてもらいます。
その際、膝(または臀部)と肩(または肘)を支点として遠心力を使うことで、わずかな力で体位変換が可能です。
⑧身体は捻らず!押さずに手前に引く
出典:南足利市社会福祉協議会(ボディメカニクス~基礎をもう一度)
ベッド上の要介護者を移乗させる場合、押す動作よりも「介護者側に密着するように手前に引く」ことで、少ない力で介助ができます。
つまり、対象者を自分のほうに引くことで、要介護者の力のモーメントを最小限に抑えることが可能です。
これは、要介護者を立ち上げる際にも同じく、介護者側に引き寄せることで双方にとっても安定した姿勢で立ち上がることができます。
また、身体は捻らず、足先を要介護者に向けてケアを行うことで腰痛予防につながると伴に、身体に負担がかかりません。
ボディメカニクスの2つの注意点
ボディメカニクスが適切に行うためには、要介護者と介護者の普段からの信頼関係がもっとも大切です。
ここでは、ボディメカニクスを実施する上で重要な注意点をみてみましょう。
要介護者に声をかけながら行う
「要介護者に声をかけながら行う」これは、ボディメカニクスを実施する上で非常に大切です。
要介護者の移動や移乗に伴う体位変換や水平移動、あるいは身体を小さくまとめる際に腕や膝を曲げてもらう場合など、ボディメカニクスでは動きに合わせてその都度お声がけを行う必要があります。
「これからオムツを取り替えますね」「これから車椅子に乗るので身体を動かしますよ。膝をこのように曲げてくださいね」「お昼ご飯を食べますよ。身体を起こしますね」などと、これから行う動作や動きを丁寧に声をかけてください。
適切なお声がけによって、要介護者は安心して介護を受けることができると同時に、「一人の人間として尊重されている」という意識を保てるのです。
また、要介護者が協力してくれることで介護者自身も安全にケアを行うことができ、お互いのコミュニケーションも深めることができます。
被介護者ができることはしてもらう
ボディメカニクスは介護者の一方的な介助ではありません。
「本人は何もできないから…」「かえって足手まといになるだけだから」と、要介護者の尊厳を軽視するならば、心身や自立機能はますます衰えてしまいます。
要介護者ができることは「できる範囲」でしてもらうことで、ケアをしてくれる介護者などを思いやる気持ちも芽生え、お互いの良い相互関係が生まれるのです。
とはいえ、要介護者に無理な負担をかけてはなりません。
介助ケアのタイミングを見計らって適切な時にしてもらい、介護者の身体的負担の軽減を目指しましょう。
要介護者は「身体や一部に麻痺がある」「筋力が弱い」「膝関節や股関節などが固まっていて動かない」など、身体状況もまちまちです。
ですが、一人ひとりの状態をきちんと把握したうえで、「片方の腕や膝なら曲がる」「頭を少しだけなら自力で上げることができる」ことを見極め、できることはしてもらって自信をつけてもらいたいものです。 |
ボディメカニクスが役立つ場面と5つの活用例
私たち人間は、「立ち上がる」「身体の向きを変える」「起き上がる」「座る」といった何気ない動作を繰り返しています。
しかし、要介護者など身体に障害が生じると、こうした日常動作が困難になり、自立生活も厳しくなって介護者の負担も免れません。
ボディメカニクスを活用することで、介護や看護職の方はもちろん、在宅介護をしている多くの方々に役立ちます。
ここでは日常の介助に、ボディメカニクスが活用できる主な場面をみてみましょう。
体位変換といった身体の向きを変える場合や、移乗する際の水平移動を行う場合、あらかじめベッドを充分な高さにし、身体が乗り出さないないよう最適な位置まで要介護者に近づくことが重要です。 |
①立ち上がるとき
出典:総合南東北病院(介護に役立つボディメカニクス 抱き起し、移動が楽に)
座った状態の要介護者が立ち上がるとき、支持基底面が小さくなってバランスを崩しやすくなるため、充分な注意を払いながらボディメカニズムを活用します。
介護者の負担を少なくするには、まずは要介護者に膝を曲げてもらい(または前方にお尻をずらす)、要介護者の足を座った姿勢の中心に近づけさせます。
次に「お辞儀」をするように重心を前に移動させ、支持基底面に収まったのを確認して腰を浮かせましょう。
(※お辞儀の姿勢をコントロールしてあげないと、重心が動きすぎて支持基底面からはみ出てしまいます。結果的に要介護者がつんのめてしまうので充分注意してください)
腰を浮かしてバランスがとれたのを確認できたら、(介護者の足の力と身体全体の筋肉を使って)ゆっくり上体を起こし、重心を上に移動させましょう。
「通常、介護者は「足を引いてお辞儀をしながら立ち上がりましょう」とお声がけをしていますが、上記の動きを言葉で表したものです。
なお、場合によっては要介護者のズボンやベルトを持って立ち上がらせることもありますが、ご本人のお辞儀をする動きを妨げない場所に立って「斜め前」から介助するのがポイントです。 |
②身体の向きを変えるとき
出典:総合南東北病院(介護に役立つボディメカニクス 抱き起し、移動が楽に)
介護ケアでもっとも苦労する動きに「身体の向きを変えるとき」が挙げられますが、この場合でもボディメカニズムの利用が効果的です。
手足・背中など身体がついた仰向け状態は、支持基底面が必然的に広くなり、同時に身体の重心が中央部に位置して非常に安定した状態です。
この状態から寝返りや衣服の着替え、あるいはオムツ替えを行う場合、支持基底面が身体の中心部にあることが大切です。
例えば、右側に寝返りをさせるには、背中全体にある支持基底面を右側に移動させる必要があります。
右側に移動させるには、わずかに上げた頭を右側に向ける。両手を右側に倒す、両膝を曲げてもらい右側に倒すといった方法をとると良いでしょう。 これらの動作は支持基底面を狭くしたり、支持基底面となる重心を移動するといったボディメカニズムが働きます。 |
身体の向きを変えるのが難しいと感じていた方も、ボディメカニズムを身につけることで寝返りなどができるようになるので、ぜひ取り入れてみてください。
③ベッドから起き上がるとき
身体の大きな要介護者は特に、ベッドからの起き上がりに一苦労されていることでしょう。
起き上がりの動作もボディメカニズムを利用することで、身体に無理なく介助ができ、ラクに起き上がせることが可能です。
具体的には、要介護者に胸の前で両腕を曲げてもらい、さらに膝も曲げてもらって身体を小さくまとめてもらいます。
介護者と要介護者が密着した後、介護者の腕を首と膝の下に入れ、お尻を支点にして「要介護者を手前に引く」ようにしながら起き上がらせることで、身体の負担は軽減して腰痛予防にもつながります。
なお、介護者は自らの足を前後あるいは両サイドに広げて支持基底面を大きく保つことが重要です。
④座るとき
要介護者や身体の不自由な方は身体の安定性が低くいため、座る姿勢は頭は胸などの上半身、あるいは腕の重みなどを自分で支えることが困難です。
椅子や車椅子に座ってもらう場合、介護者は足の支持基底面を広くとって膝を曲げて重心を低くし、要介護者と密着しながら一緒に腰を落とします。
座る場合にもボディメカニズムを取り入れることで介護者の骨盤は安定し、さらに双方の姿勢も落ち着くため腰への負担も軽減できます。
⑤移乗するとき
ベッドから車椅子に移乗したり、車椅子からベッドあるいは便座に移る場合も、ボディメカニズムを最大限に使いこなしましょう。
まずは移乗の際、要介護者を「持ち上げる」上下動作は、介護者の身体を痛めることになります。
介護者は重心を低くして両足を前後に広げ、自分の前足を要介護者の両足の間に入れ、要介護者には両腕を肩に回してもらってお互いの身体を密着させましょう。
そして介護者の足先をベッドあるいは車椅子に向かって方向転換を行い、一緒に腰を降ろすように座ってもらいます。
つまり、要介護者を水平に移動させるつもりで移乗を行うことで、双方の身体的負担を抑えることができます。
なお、要介護者にはお辞儀の姿勢で足を後ろに下げてもらうことで、介護者の足に体重が移りやすくなり移乗もラクに行えます。
ボディメカニクスを習得するメリット
ボディメカニズムを実践することで、次のようなメリットがあります。
- 腰痛防止対策になる
- 身体的負担が軽減される
- 介護者・要介護者の身体的負担が少ない
ここでは、ボディメカニズムの3つのメリットを確認し、介助ケアに生かしてください。
参照:厚生労働省(医療保険業の労働災害防止)
【メリット①】介護職員・看護師の腰痛防止対策になる
ボディメカニズムを正しく習得することで、介護や看護に携わる方々の腰痛予防につながります。
介護ケアでは、排泄・移動・清潔といった一連の動作を「前傾姿勢」で長時間行うことが多いのが現状です。
こうした長時間の前傾姿勢は、職業性の腰痛の原因となり、オムツ交換にしては介護者は要介護者のベッドサイドから大きく身を乗り出して「前傾姿勢」状態でケアを行っています。
こうしたケア業務もボディメカニズムを活用することで、最小限の力で無理なく介護ができるので、慢性的な痛みに苦悩する必要もありません。
【メリット②】介護者・要介護者の身体的負担が軽減される
ボディメカニズムを実践することで、要介護者がケアを受ける際に無理な姿勢をとらずに済みます。
要介護者の身体状況は千差万別のため、一人ひとりの状態を無視したケアは身体を痛めつけることになります。
ボディメカニズムは、「要介護者と介護者の身体的な負担を取り除く」という最大のメリットがあるため、介護・看護職の方、あるいは在宅介護をなさっている全ての方々にはぜひ習得していただきたいケアです。
【メリット③】介護者・要介護者の心理的負担も少ない
ボディメカニズムを正しく実践することで、要介護者も安心して介護を受けることができます。
「介助に苦労する」とされている移乗や移動の際も、ボディメカニズムの利用によって比較的小さな力で介助ができるため、介護する側に心身的なストレスが少なく、安心して介護に取り組めます。
何よりも、職業病といわれる腰痛が抑えられることで、精神的な苦痛が軽減され、介護にも心のゆとりが生まれることでしょう。
ボディメカニズムはこのように、介護者・要介護者の心理的負担が少ない上、双方の信頼関係が深まるメリットがsります。
ボディメカニクス以外の腰痛予防方法
ここでは、ボディメカニズム以外の腰痛予防方法をご紹介します。
介護者や要介護者のご事情に合わせて最適に取り入れ、笑顔と安心の介護ケアを実現しましょう。
福祉用具を臨機応変に活用する
要介護者を最適にケアするために、下記のような福祉用具を活用する必要があります。
福祉用具の利用をされてない方は是非活用なさり、心身の労力の負担を和らげてください。
主な福祉用具 | 使用法 |
介助ベルト | ・要介護者の腰部に装着 ・移動や移乗に使用 |
スライディングシート | ・要介護者の身体の下に敷き、その上を滑らせて移動・移乗を行う |
スライディングボード | ・表面は滑りやすくできいて、裏面は滑りにくく加工されたもの ・移乗元と移乗先にわたし、ボードの上を要介護者のお尻に敷いて滑り渡す |
移乗用ボード | ・要介護者の臥位時の移乗に利用 ・板状の福祉用具で滑りやすく介助がしやすい |
移乗支援機器 (リフト・スリング・スタンディングマシン) |
・床走行式のリフト及び要介護者をつり上げるためのスリング ・座れる姿勢は保てるが、自力で立ち上がれない方にはスタンディングマシンが最適 (※現在は、移乗を電動で支援するマシンも増加しています) |
状況に応じて福祉用具を適切に利用して、快適な介護ケアを行いましょう。
腰痛予防のストレッチ体操を行う
辛い腰痛を予防するために、日頃から「腰痛予防体操」を行って筋肉の疲労回復を図ることが大切です。
厚生労働省が提示する「職場における腰痛予防対策指針」では、疲労の蓄積度合によって適宣、腰痛予防のストレッチ体操を行うことで、効果が得られると明言しています。
早速、次の手順を参考に、腰痛予防のストレッチ体操を行ってみてください。
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参照:厚生労働省(職場における腰痛予防対策指針)
痛みが激しい場合やいつまでも痛みが残る場合は、決して無理をせず専門医への受診をおすすめします。
ボディメカニクスの8原則のまとめ
ボディメカニクスを正しくマスターすることで、安全で安定した姿勢で介護ケアを行えます。
何よりも、職業病といわれる辛い腰痛で我慢したり、あるいは離職する必要もありません。
本記事でご紹介した「ボディメカニクスの8原則」を心得て、適切な時に正しいボディメカニクスを実践してみてください。
腰痛を回避して、笑顔溢れる介護者のケアを要介護者は待っています。