デイサービスとデイケアの違いを理解してベストな選択をしよう!
デイサービスとデイケアは、いずれも通所の介護サービスで名前も似ていることから、どちらを選んだらよいか迷うことがあるでしょう。
それぞれのサービスの特徴や違いが分かれば、より利用者様の希望に沿ったサービスを提供してもらえるため、充実した時間を送ることができます。
この記事では、それぞれの特徴と大きな違い、どちらを選択すればよいか迷ったときの対処法をご紹介します。
デイサービスとデイケアの特徴
デイサービスとデイケアのどちらを選ぶのかを検討する場合、それぞれの特徴を知っておくと参考になります。利用者様の「向き/不向き」を把握する手掛かりになるのです。「どのようなサービスを受けたいか」がはっきりしている場合には、照らし合わせてみましょう。
デイサービスの特徴
デイサービスとは、要介護状態になった利用者様が、可能な限り自立した生活を送れるよう、生活機能の維持・向上を目的として機能訓練が提供される施設です。
生活機能の維持のほか、社会的孤立の解消、心身機能の維持、家族の負担軽減などを目的として実施されます。施設では具体的に、食事や入浴、レクリエーションなどが日帰りで提供されます。
通所施設のため、利用者様の自宅から施設までは送迎を行うことが一般的です。高齢者同士の交流も多いため、コミュニケーションをとることに苦手意識がない人の利用が多い傾向です。
デイケアの特徴
デイケアは、要介護状態になった利用者様が、病院や診療所、老人保健施設などでリハビリテーションの支援を受ける介護保険サービスです。リハビリテーションの他に、昼食や入浴、日常生活上の支援も受けることができます。
リハビリテーションは主治医の指示のもとに行い、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの国家資格を持つ専門職が携わるため、充実した環境でリハビリを受けることができます。
退院後でもリハビリテーションを続けたい人、長期のリハビリが必要な人など積極的にリハビリを受けたい人が利用し、短時間の利用も可能です。
デイサービスとデイケアの大きな違いは4つある
それぞれの特徴を理解したところで、さっそくデイサービスとデイケアの違いについてご説明します。両者の違いを把握すると、どちらのサービスが向いているのかがより明確になりますよ。
1:サービスを提供する目的が違う
デイサービスとデイケアは、サービスを提供する目的が違います。心理的影響、身体的影響に注目して以下の表をご覧ください。
デイサービスの目的 | デイケアの目的 |
心身の健康維持 | 身体機能の回復・維持 |
社会交流の場 | 生活機能の向上・維持 |
楽しみ・生きがいの場 | コミュニケーション能力の向上・維持 |
安定した生活リズム・衛生状態を提供 | 安定した生活リズム・衛生状態を提供 |
家族の負担軽減 | 家族の負担軽減 |
表から分かるように、デイサービスは人との関わりから心身の健康維持をはかるのに対し、デイケアは身体の機能回復・維持を重視しています。よってデイケアのほうが医療的要素が強いと言い換えることができます。
2:配置されるスタッフが違う
デイサービスとデイケアでは、配置されるスタッフが異なります。提供されるサービスに違いがあることをふまえて、以下の表をご覧ください。
デイサービスの人員配置基準 | デイケアの人員配置基準 |
管理者:1名 | 医師:1名 |
生活相談員:1名以上 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士:1名以上 |
看護職員:1名以上 | 介護職員・看護職員:1名以上 |
介護職員:1名以上 | |
機能訓練指導員:1名以上 |
*デイサービスにおいては利用定員が10名を超える施設の人員基準です。機能訓練指導員は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかを指します。
表から分かる通り、デイケアでは医師とリハビリ専門職のもとリハビリテーションが提供されます。デイサービスの機能訓練の場合には、必ずしもリハビリ専門職が指導してくれるとは限りません。
3:提供されるリハビリ内容が違う
デイサービスとデイケアでは、提供されるリハビリ内容が異なります。上記の「配置されるスタッフが違う」ことをふまえて以下の表をご覧ください。
デイサービスで提供されるリハビリ | デイケアで提供されるリハビリ |
デイサービスでは「機能訓練」が提供される | デイケアでは「リハビリテーション」が提供される |
「減退防止」を目的とする | 「身体機能の回復・維持」を目的とする |
リハビリ専門職または介護職員が指導する | リハビリ専門職が直接指導する |
医師の指示は必要ない | 医師の指示のもと行う |
デイサービスで提供されるリハビリは、正確には「機能訓練」と呼ばれます。デイケアのリハビリテーションはより専門的な訓練を望む人が利用する傾向で、医師の指示のものリハビリ専門職が指導を行うことから、専門的な機械を利用できる施設もあります。
4:利用料金が違う
デイサービスとデイケアは、利用料金が異なります。なおデイサービスは要支援1・2の人は利用できませんが、デイケアは利用可能です。ここでは比較検討のため、利用者負担が1割の場合の要介護1~5までの一例をそれぞれ比較してみましょう。
介護度 | デイサービスの利用料金 | デイケアの利用料金 |
要介護1 | 645円 | 667円 |
要介護2 | 761円 | 797円 |
要介護3 | 883円 | 924円 |
要介護4 | 1,003円 | 1,076円 |
要介護5 | 1,124円 | 1,225円 |
*いずれも通常規模の施設で比較しています。
利用料金は、医師やリハビリ専門職が在籍するデイケアのほうがやや割高です。利用者様の要介護度や施設の規模、利用時間、お住いの地域によっても料金が異なりますが、このほかおむつ代、食事代、おやつ代など別途料金が加算されます。
デイサービスとデイケアどちらを選択すべきか迷ったら
デイサービスとデイケアのどちらを選択すべきか迷ったら、以下を参考にしてください。なおデイケアはデイサービスに比べて利用手続きに時間がかかることがあるため、時間に余裕を持って探しましょう。
利用者様本人の希望をじっくり聞く
デイサービスとデイケアのどちらを選択すべきか迷ったら、利用者様本人の希望をじっくり聞きましょう。これから施設に通うのはご家族ではなく利用者様です。
新しいことに積極的に挑戦したい、人との関わりを持ちたい人の場合にはデイサービスの方が向いている可能性があります。目標を持って身体機能を改善したい人や退院後間もない人には、デイケアがおすすめです。
年齢を重ねると、体力だけではなく考え方も変わることがあります。いま一度利用者様と話し合いを持って、より利用者様に適した介護保険サービスを選択しましょう。
施設ごとのサービス・施設を比較する
デイサービスとデイケアのどちらを選択すべきか迷ったら、施設ごとのサービス・施設そのものを比較しましょう。ひとことでデイサービス・デイケアといっても施設ごとに特徴があります。
趣味やリハビリに特化した施設もあれば、足湯や温泉がある施設。本格的なトレーニングルームが併設されていたり、短時間の利用に対応してくれたりと施設によって千差万別です。
気になる施設があれば、ケアマネージャーに相談して体験や見学に足を運んでみることをおすすめします。サービスや施設だけではなく、スタッフやほかの利用者様の雰囲気を知ることができますよ。
併用を検討する
デイサービスとデイケアのどちらを選択すべきか迷ったら、併用を検討してみましょう。介護保険は、介護度が高いほど利用できる介護サービスが増えていく仕組みです。
よって利用者様が要介護認定を受けている場合には、デイサービスに通いながらデイケアで専門的なリハビリテーションを受けることができます。しかし一般的なデイサービスの場合、要支援1~2の人は利用が自己負担になるため、施設に相談してみましょう。利用料金は2,000円前後かかりますが、要支援1・2の人が対象の、介護予防を目的とするデイサービスもあります。
2つの施設を利用することで気分転換になるという声もあれば、2つの施設を利用することが負担になるという声もあるため、利用者様によって使い分けるようにしましょう。
求めるサービスを把握してベストな選択を
在宅介護が必要になったとき、家族の負担を軽減する意味でもデイサービスやデイケアは有効です。しかし同じ通所サービスでありながら、目的や関わるスタッフ、リハビリの内容が異なるため、利用者様がどのようなサービスを求めるかが問われます。
迷ったときに家族と利用者様が話し合うことはもちろん大切ですが、身近で利用者様を見てきた医師やケアマネージャーの意見にも耳を傾けてみましょう。求めるサービスが明確になることがありますよ。