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要支援・要介護の基礎と認定者の状況を把握すれば円滑に認定を受けられる

「要支援・要介護」という言葉を知っていても、具体的にどのように分類されているのかを理解していますか?要支援・要介護では受けられるサービスや時間が異なります

基礎知識を知っておくと、認定の際の手続きをスムーズに行うことができますよ。本記事では、要支援・要介護の基礎と認定者の状況、その後の手続きなどをご紹介します。

要支援・要介護の基礎知識

さっそく要支援・要介護とはどのようなものなのかを確認していきましょう。認定の対象になる方の身体状況と合わせて確認してみてください。

「要支援・要介護」は介護の必要度合いを数値化したもの

「要支援・要介護」とは、介護の必要度合いを数値化したものです。要支援・要介護認定を受けることで、具体的にどの程度介護に関わるサービスを受けられるかが明確になります。

厚生労働省の調査によると、介護保険制度がスタートした平成12年度は218万人だった要支援・要介護認定者は、平成29年度には633万人にものぼり、増加の一途をたどっています。

今後も増加することが予想され、要支援・要介護認定によって、「必要な人に必要なサービスを提供する」流れは継続されると考えられます。

要支援の定義

要支援の定義として、厚生労働省は「要介護認定に係る法令」において以下のように定めています。

身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態

要支援1・2ともに、基本的には「一人で生活することが可能」だが、動作によっては支援が必要になるということです。

要介護の定義

要介護の定義として、厚生労働省は「要介護認定に係る法令」において以下のように定めています。

「身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態」

要介護は、日常生活において「何らかの介護」が必要な状態と位置づけています。なお、要介護は運動機能だけではなく理解力・思考力の低下も認定に反映されます

要支援・要介護は8つに分類される

要支援・要介護は「非該当」を含めて8つに分類されます。それぞれの分類と特徴を見ていきましょう。

要介護度 身体状況
非該当 日常生活を一人で送ることができ、支援が必要ない。
要支援1 日常生活を一人で送ることができるが、身の回りのことに支援が必要になる場面がある。
要支援2 日常生活を一人で送ることができるが、身の回りのことに支援が必要になる場面が多い。
要介護1 排泄や入浴時に介助を必要とし、要支援2より身体能力・思考能力の低下がみられる。
要介護2 立ったり座ったりに介助を必要とし、日常生活全般に見守りが必要。認知機能の低下がみられることも。
要介護3 日常生活全般に介助を必要とする。問題行動を起こすことも。
要介護4 介助がなければ日常生活を送ることができない状態。
要介護5 基本的に寝たきりで、介助がなければ日常生活を送ることができない状態。意思疎通が困難なことも。

以下、分類ごとのポイントを確認していきましょう。

要支援2と要介護1の違いとは!?

要支援2と要介護1は、「状態の安定性」と「認知症高齢者の日常生活自立度」から判定されます。「状態の安定性」とは、「将来的に介護量が増加する変化が起こり得るか」ということです。認定6ヶ月以内に再評価が必要と判定されると、要介護1になる可能性があります。

「認知症高齢者の日常生活自立度」とは、認知症の状況を評価するもので、状況の度合いが高いと要介護と判定されます。最終的には介護認定審査会で決定されますが、参考程度に覚えておきましょう。

要介護度によって利用できるサービス・料金が異なる

要介護度によって利用できるサービス・料金が異なります。以下、それぞれの利用できる・利用できないサービスの一部と居宅サービスの1ヶ月あたりの利用限度額をご紹介します。

サービス 要支援1・2 要介護1~5
訪問介護
訪問看護
訪問リハビリ
訪問入浴
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
通所介護
通所リハビリ
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
短期入所生活介護
短期入所療養介護
介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
介護医療院

 

要介護度 利用限度額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

利用できる・できないサービスがあることはひと目でわかっていただけると思いますが、要介護度によって利用頻度も異なります介護認定調査の際には、適切な判定をしてもらうために「どのような介護をどのくらいの時間必要としているか」を正確に伝えましょう

要支援・要介護者の状況

要支援・要介護認定を受ける方はどのような方が多いのかを確認していきましょう。データは、厚生労働省が公開している平成13年のものを利用しています。

認定者の男女比と構成年齢

認定者の男女比は、男性:32.9%、女性:67.1%。構成年齢は、男女ともに75歳~89歳が多くなっています。認定者に女性が多い要因としては、平均寿命が関わっていると考えられます。

厚生労働省が平成22年に発表している男性の平均寿命は79.64年、女性の平均寿命は86.39年というデータから、男性は要支援・要介護認定に至る前に寿命を全うする方も多くいると思われます。構成年齢については、75歳を機に「後期高齢者」となるため、「介護」を意識する場面が多くなるからと考えられます。

要支援より要介護認定を受ける人が多い

上記と同じく厚生労働省が公開している平成13年のデータを確認すると、要支援よりも要介護認定を受ける人が多いという結果があります。男女ともに8割以上が要介護認定を受けていて、もっとも多い判定が要介護1です。

完全に寝たきり状態には至らないものの、日常生活では何らかの介護を必要とする方が多い状況が伺えます。本人が在宅を希望する場合には、要介護の方が要支援より幅広くサービスを利用できるため、どのようなサービスを利用したいかを話し合ってみましょう。

認定のきっかけは脳血管疾患が多い

上記と同じく厚生労働省が公開している平成13年のデータを確認すると、要支援・要介護認定を受けるきっかけとしては、男女ともに「脳血管疾患」が最多です。とくに男性では42.9%と高い値を示しています。

脳卒中の実態解明を目的として行われている久山町研究によると、脳梗塞全体の発症率は男性6.4(対1000人/年)、女性3.4という結果があり、男性は脳血管疾患を患う確率自体が高いことが分かります。一方で女性は20.2%と男性よりも低い値ですが、関節疾患や転倒・骨折などが男性より高い値を占めています。よって「厚生労働省が公開している認定のきっかけ」は、そのまま高齢者の身体状況が反映されたものと言い換えることができるでしょう。

要支援・要介護認定を受けるには

要支援・要介護認定を受けるには、以下の流れをたどります。注意点をあわせて確認していきましょう。

ステップ1:市区町村に認定申請をする

要支援・要介護認定を受けるには、まず市区町村に認定申請をしなければなりません。市区町村の窓口へ出向いても良いですが、ホームページから「認定申請書」を印刷することも可能です。本人が手続きするのが難しい場合には、家族やケアマネージャーが代理で行うことも認められています

一般的には申請時にマイナンバーカードや身分証明書、介護保険被保険者証などが必要です。自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

ステップ2:認定調査を受ける

認定調査は、①訪問調査②主治医の意見書③一次判定④二次判定のステップがあります。私たちが関われるのは、①訪問調査のみなので、この時点で「家庭でどのような介護をしているか」や「本人の身体状況」についてしっかり話しておきましょう

質問は70項目ほどあり、30分〜1時間にわたって行われます。伝え漏れがないよう、事前にメモをしておくことをおすすめします。主治医の意見書は依頼書が直接医師に送付されるため、事前に「介護認定を受ける旨」を話しておくとスムーズです。その後、③一次判定ではコンピュータ判定、④二次判定では介護認定審査会が行われます。

ステップ3:認定の結果が通知される

認定の結果は郵送で通知され、一般的には1ヶ月程度の期間がかかります。その後介護サービスを利用するためにはケアマネージャーにケアプランを作成してもらわなければなりません。

要支援認定を受けた方は地域包括支援センター、要介護認定を受けた方は居宅支援事業所のケアマネージャーに相談しましょう。初回認定においては、有効期間が6ヶ月です。認定後も、更新の手続きを忘れずに済ませましょう。

客観的な判断で適切な介護サービスを受けよう

要支援・要介護認定とは、専門家の客観的な判断を経て適切な介護サービスを受けるためのステップです。少しでも介護が必要な状態になったら、迷わず認定申請をしてみましょう。

認定調査においては、要支援・要介護の違いや認定者の状況を知っていれば、ポイントをおさえて現状を訴えることができるため、適切な認定、サービス利用につながるでしょう。利用できるサービスを最大限に活用して、介護の負担を減らせると良いですね。

 

 

 

 

 

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