介護のBLOG

介護に関するお役立ち情報を定期的に配信しています。

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 老人ホーム
  4. 老人ホームの費用相場と内訳を知れば必要な予算が明確になる

老人ホームの費用相場と内訳を知れば必要な予算が明確になる

老人ホームへの入居を検討したとき、もっとも気になるのは「費用」ではないでしょうか?入居期間があらかじめ分かっているものではないため、予算が想定しにくいという現状があります。

しかし費用相場や内訳を知っておけば、月額費用が明らかになり予算を想定することが可能です。本記事では、老人ホームの費用相場・内訳・費用に関する疑問をご紹介します。

老人ホームの種類と特徴

老人ホームは大きく2つに分けられます。費用相場を確認する前に、2つの老人ホームの特徴をおさえておきましょう。

費用が安い公的施設

公的施設は、国や地方自治体、社会福祉法人が運営する施設です。民間施設よりも費用が安いことが特徴ですが、人気があるため「入居待ち」をする方も多くいます。入居待ちは長いと数年になることがあるため、家族の負担が大きくなることが予測されます。

公的施設の一例です。

  • 特別養護老人ホーム
  • 養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)

これらの施設は費用が安い反面、イベント・レクリエーションが少ないというデメリットもあります。入居する方の性格をあわせて考慮しましょう。

比較的入居しやすい民間施設

民間施設は民間企業が運営する老人ホームで、公的施設に比べると比較的入居しやすいことが特徴です。ケアやレクリエーションが充実していますが、費用が高額になる傾向です。

民間施設には、以下のものがあります。

  • 有料老人ホーム
  • グループホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • シルバーハウジング

施設によっては、ホテルのような高級志向の老人ホームも。施設によっては外部のデイサービスが受けられないことがあるため、事前に確認しておきましょう。

老人ホームの費用相場

老人ホームの費用相場は以下のようになっています。上記の通り、民間施設の方が公的施設よりもやや割高です。

公的施設 民間施設
種類 相場 種類 相場
ケアハウス 9万円~13万円 介護付き有料老人ホーム 15万円~30万円
特別養護老人ホーム 10万円~15万円 住宅型有料老人ホーム 10万円~15万円
介護老人保健施設 8万円~15万円 サービス付き高齢者向け住宅 12万円~20万円
介護医療院 8万円~15万円 グループホーム 10万円~15万円

立地やお住いの市区町村でも費用に違いがあり、人気の施設は入居待ちになるため、興味を持った施設には早めに確認することをおすすめします。

老人ホームの費用内訳

老人ホームの費用は、「入居時の費用」と「月額料金」に分けられます。さらに希望する施設の「権利形態」についても理解しておくとスムーズです。それぞれの詳細について確認していきましょう。

入居時の費用

入居時の費用は、前払いであることが一般的です。なお公的施設は入居時費用がかかりません。「入居一時金」「敷金・保証金」といった名目で取り扱われ、施設によっては数千万円ということも。対して「入居一時金が0円」や「退去時に返還」という施設もあります。

3つの支払い方式に注意

入居時の費用は家族にとって大きな負担になることがあるため、施設によって支払い方式が異なります。

  • 前払い方式:想定居住期間の家賃相当分の全額、又は一部を支払う。はじめの出費は大きいが、月額費用が軽くなる。入居中に老人ホームの料金が減額された場合には返金がない。
  • 月払い方式:月額費用が高くなるが、途中退去・転居がしやすい。老人ホームの料金が減額された場合には支払い金額を抑えることができるが、上がったときには高くなる。
  • 併用方式:「前払い方式」と「月払い方式」を併用する方法。想定居住期間の家賃一部を前払いし、支払額を差し引いた家賃を月額費用として支払う。

ご家庭によって重要視するサービスや経済状況が異なります。支払い方式までしっかり確認して契約するようにしましょう。

月額利用料

月額利用料として以下のものがかかります。内訳を確認していきましょう。

居住費・管理費

公的施設の場合には、国が定めた「基準費用額」の範囲で月額居住費・管理費が決定します。しかし居室の広さや種類(多床室や個室など)によって異なるため、注意が必要です。

民間施設の場合には「基準費用額」が決まっていないため、施設の立地や医療サポート体制の有無によって費用が異なります。施設の維持・メンテナンス費用も施設によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

食費・水道光熱費

公的施設の場合には、食費にも「基準費用額」が定められているため、極端な費用の増減がありません。しかし、入居する方の所得・資産状況によって費用が異なるため、確認しておきましょう。

民間施設の場合には、毎月食費として一定額を請求する施設があれば、食べた分だけ請求する施設も。施設によっては、食事の献立や好みを確認して利用することも可能です。水道光熱費は、入居者負担が一般的なので、月額利用料や管理費で確認することができます。

サービス加算

施設によっては、サービス加算が付くことがあります。サービス加算とは、手厚い介護や人員体制など国が定めた項目を満たした場合に、基本サービスに加えて請求できる仕組みです。

サービス加算1つなら少額でも、加算がいくつもかかってくると月額費用は大きくなります。施設ごとに金額が異なるため、施設選定の際には十分に確認しましょう。

介護サービスの自己負担額

介護サービスを受ける場合には、自己負担金は所得に応じて1~3割です。住環境の違いや要介護度によって金額が異なりますが、要介護5の方が介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を利用する場合の目安は以下のようになっています。

多床室を利用 ユニット型個室を利用
約25,200円 約27,900円

いずれも別途居住費や食費・雑費がかかるため、合計すると「老人ホームの費用相場」でご紹介した金額になります。

その他発生する費用

その他、月額費用に含まれないものとして以下のものがあります。

  • 医療費:診察が必要になり、他の医療機関を紹介された場合や、提携する医療機関で健康管理が行われた場合などに発生する。
  • 介護保険対象外のサービス:理美容や買い物代行など。
  • 日用品・嗜好品:歯ブラシやせっけん、入居する方の嗜好品、趣味に用いる道具など。

なお、おむつは民間施設では実費が請求されますが、公的施設では施設サービス費に含まれることが一般的です。

老人ホーム契約時は権利形態もチェック

老人ホームは、費用を支払って得られる「住居権利形態」が施設ごとに異なります。入居を希望する老人ホームの権利形態をしっかりチェックしておきましょう。主な権利形態は以下の3つで、多く採用されている順にご紹介します。

  1. 利用権方式
  2. 建物賃貸借方式
  3. 終身建物賃貸借方式

1.利用権方式

利用権方式は、費用を支払うことで居室・共有スペースが終身にわたって利用できるようになる権利形態です。介護や生活支援などのサービスが一体になった権利形態で、パッケージ化したものと考えると理解しやすいでしょう。

介護付き・住宅型・健康型有料老人ホームはこの権利形態が多く採用されています。入居者が亡くなった場合には、利用権は相続の対象になりません。

2.建物賃貸借方式

建物賃貸借方式は、居住部分とサービスがそれぞれ個別の契約形態をとる契約形態です。介護サービスを外部業者と契約する「サービス付き高齢者向け住宅」で導入されていることが多いですが、採用している施設が少ないというデメリットがあります。

また初期費用を抑えることができ、契約者が亡くなった場合でも借地権が相続できることが特徴です。敷金・礼金は施設によって異なるため事前に確認しておきましょう。

3.終身建物賃貸借方式

終身建物賃貸借方式は、契約者の死亡によって契約が終了する権利形態です。都道府県知事から許可を受けた施設しか採用されていないため、実際に終身建物賃貸借方式を採用する施設は、0.9%程度です。契約前によく確認をしておきましょう。

終身建物賃貸借方式といっても、契約者の死亡後1ヶ月以内に事業者に継続居住を申し出れば、配偶者・同居していた60歳以上の親族は継続居住が可能です。この場合、「申し出た居住者」は終身にわたって居住が可能となります。

老人ホームの費用に関する疑問

老人ホームの費用に関して、よくある疑問をまとめました。問題解決の参考にしてください。

疑問1:年金だけで老人ホームの費用はカバーできる?

年金は人によって異なるため、老人ホームの費用をカバーできるかどうかは明確ではありません。よって、入居を検討される方の年金受給額を明らかにすることから始めましょう。以下は令和4年度の国民年金・厚生年金の受給額平均です。

  • 国民年金:6万4,816円
  • 厚生年金:21万9,593円

老人ホームは、毎月数十万円の費用がかかることから、国民年金のみで老人ホームの費用をカバーすることは困難であるといえるでしょう。入居によって必要がなくなる持ち家や車などがあれば、売却してカバーすることも考えられます。

疑問2:夫婦で入居できる?

夫婦で入居できるかは、施設によります。必ず夫婦部屋を用意しているわけではありませんが、「夫婦部屋が期待できる施設」は以下の通りです。

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • ケアハウス

夫婦部屋は、それぞれ個室に入居する場合とは別な料金体系が設定されています。それぞれ個室に入居するより費用を抑えることができますが、「夫婦部屋がある施設」は少ないことを頭に入れておきましょう。

疑問3:独身でも入居は可能?

結論から言えば、独身でも老人ホームへの入居は可能です。しかし入居を希望する施設の「入居条件」に該当する必要があります。一般的には以下のポイントで判断されます。

  • 要介護度
  • 入居時の年齢
  • 医療行為が必要かどうか
  • 保証人・身元引受人
  • 支払い能力

独身の場合、「保証人・身元引受人」がいないことが理由で入居を拒否されることがあります。その際は、「保証人・身元引受人」代行を行う民間企業に相談してみましょう。

疑問4:老人ホームの費用は誰が負担する?

老人ホームの費用は、本人または配偶者が負担するケースが大多数です。年金や預貯金を充てることが多いですが、だんだんと月々の支払が苦しくなり家族が請け負うケースも。

毎月数十万円の負担が生じるため、費用に不安がある場合には入居前に家族間で話し合っておくことをおすすめします。所得控除や障害者控除、高額療養費制度など軽減・減免制度の利用を検討して、「誰がどの程度を負担するか」を具体的に決めておくと、「いざ」というときに慌てなくて済みますよ。

老人ホームの費用は無理をせず予算を明確にする

老人ホームの入居を検討しているなら、「予算」を明確にしましょう。予算が明確になれば、老人ホームを絞ることができるからです。

「介護費用」は「終わり」が設定されているものではありません。子どもに負担が生じれば、将来同じように孫に負担がかかることも想定されます。決して無理をせずに、預貯金や資産、今後の収入を把握してFPや市区町村の高齢福祉課などに相談してみましょう。

 

 

関連記事

新着記事

記事カテゴリ