介護付き有料老人ホームの魅力と費用を知るとベストな施設が選択できる
介護付き有料老人ホームとは、身の回りのお世話のほか、食事や入浴・排泄などの介護サービスを受けることができる施設です。しかし魅力的な施設だからこそ、費用面で不安を抱えていませんか?
費用の根拠が明確になれば納得して入居できるため、より適した施設をみつけるきっかけになり得ます。本記事では、介護付き有料老人ホームの魅力と入居基準、費用と適用される控除をご紹介します。介護付き有料老人ホームと似ている施設も紹介するため、施設選択の際の参考にしてください。
介護付き有料老人ホームの魅力
介護付き有料老人ホームには、さまざまな魅力があります。入居をためらっていたご家族が、「検討してみよう」というきっかけになるかもしれません。ご家族の身体状況と照らしあわせて確認してみましょう。
魅力1:介護が充実
介護付き有料老人ホームの魅力は、名前の通り介護が充実している点です。介護付き有料老人ホームは「特定施設」にあたるため、人員基準や設備、運営計画など厚生労働省で定められています。
日中は看護師が常駐し、夜間は介護職員がいるため、万が一の事態に対応してもらうことが可能です。
また入居者様の要介護度が上がったときでも、転居の必要性がない点も大きな魅力。引っ越すことなく、慣れ親しんだ施設で介護サービスを受けることができます。
魅力2:施設数が多い
介護付き有料老人ホームは、施設数が多いことも魅力です。公益社団法人全国有料老人ホーム協会の高齢者向け住宅実態調査によると、介護付き有料老人ホームの施設数は3000件以上というデータがあります。
施設数が多いということは、比較的入居しやすい環境にあるということです。入居条件を満たし、「他施設で待機期間が長い」「すぐに入所したい」という方は検討の価値があるでしょう。
介護付き有料老人ホームを含む有料老人ホーム施設数は、近年増加傾向です。環境によっては、お住まいの近くで探すことも夢ではありません。
魅力3:選択肢が多い
介護付き有料老人ホームは、選択肢が多いという点も魅力です。介護付き有料老人ホームは「特定施設」としての条件を満たしていればどのような体系でも良いため、さまざまな特徴や強みを活かした以下のような施設からも選択することができます。
- 認知症ケアを得意としている。
- 看護師が夜間も常駐している。
- ホテルを意識した贅沢な施設。
しかし選択肢が多いために、施設選びに時間を費やすというデメリットも。入居者様が何を重要視するかを明確にしておきましょう。
介護付き有料老人ホームの種類と入居基準
介護付き有料老人ホームには3種類あります。以下、タイプごとの違い・入居基準について確認していきましょう。どのタイプでも入居基準は65歳以上で、食事の提供・緊急時の対応・介護サービスを受けることができます。
介護専用型
介護専用型の入居基準は以下の通りです。要介護1以上であることが入居の条件になります。
自立 | 要支援 | 要介護 | |
介護専用型の入居対象者 | ✖ | ✖ | 〇 |
介護専用型の施設は、要介護度が高い方でも生活しやすいよう、お風呂に寝たまま入れる寝台があったり移乗リフトが備えてあったりします。なかには、医療行為が可能な施設も。ご家族にどの程度の介護が必要か確認しておきましょう。
混合型
混合型は、自立している方から要介護認定を受けた方まで入居ができます。
自立 | 要支援 | 要介護 | |
混合型の入居対象者 | 〇 | 〇 | 〇 |
一見便利なようですが、自立している方は介護を必要とする方と生活するため、ストレスになるというケースも。しかしご夫婦の一方に介護が必要で、もう一方が自立している方の場合には、同時に入居することができます。もちろん自立状態で入居した方が将来的に介護が必要になった場合でも、慣れ親しんだ施設で介護サービスを受けることが可能です。
自立型
自立型は要支援・要介護認定を受けた方は入居できません。しかし入居後に介護が必要になった場合には、介護サービスを受けることができます。
自立 | 要支援 | 要介護 | |
自立型の入居対象者 | 〇 | ✖ | ✖ |
自立型は自立した方向けの施設が充実していることが多く、ジムや温泉などを備えていることもあり、費用が高い傾向です。自立型の施設数は、介護専用型・混合型に比べて多くありません。入居を検討する場合には、早めに検討・手続きを済ませましょう。
介護付き有料老人ホームの費用
介護付き有料老人ホームの費用は、月額料金のほか、施設によって一時入居金が必要なことがあります。それぞれどのような役割があるのかを確認しましょう。
一時入居金には幅がある
介護付き有料老人ホームの一時入居金には幅があります。一時入居金が必要ない施設もある一方で、一時入居金だけで一億円という施設も。
入居時にまとまった資金が必要になりますが、一時入居金を納めることで月額料金を安く抑えることができます。
長期にわたって入居しても月額費用は据え置かれることが多いため、一時入居金の金額だけで判断せず、将来的な費用負担を予測して検討することをおすすめします。
月額料金は要介護度によって変動する
介護付き有料老人ホームの月額料金は、要介護度によって変動します。月額料金には、食費や光熱費、施設管理費のほか介護サービス費が含まれるからです。
厚生労働省が令和3年4月に出している「介護報酬の算定構造」によると、1割負担の場合の介護サービス費の自己負担額は以下のようになっています。
要介護度 | 自己負担額(円/月) |
要支援1 | 5,460円 |
要支援2 | 9,330円 |
要介護1 | 16,140円 |
要介護2 | 18,120円 |
要介護3 | 20,220円 |
要介護4 | 22,140円 |
要介護5 | 24,210円 |
介護付き有料老人ホームの場合には、介護サービスを外注する必要がなく、要介護度に沿った料金を納めれば良いということになります。この他施設によってサービス加算が付くこともあるため、事前に確認しておきましょう。
介護付き有料老人ホームに適用される控除
介護付き有料老人ホームに入居している場合、税金の控除を受けられることがあります。施設で使用したオムツ代や訪問診療費用などは医療費控除の対象になることがありますが、介護費や居住費は対象にならないため、ここでは以下の2つの控除について見ていきましょう。
扶養控除
ご家族が介護付き有料老人ホームに入居している場合、扶養控除を受けられる可能性があります。入居者様が70歳以上で、「施設入居前から扶養控除を受けていた」「親に仕送りをしていた」などのケースが対象です。
さまざまな条件がありますが、国税庁によると扶養控除額は以下の通りです。
区分 | 控除額 | |
一般の控除対象扶養親族 | 38万円 | |
特定扶養親族 | 63万円 | |
老人扶養親族 | 同居老親等以外の者 | 48万円 |
同居老親等 | 58万円 |
施設入居の場合には「同居老親等以外の者」となり、48万円の控除が可能です。扶養控除を受けるには、自営業の方は確定申告を、会社員の方は勤務先に扶養控除申告書を提出する必要があります。障害者控除と併用も可能です。
障害者控除
介護付き有料老人ホーム入居時には、障害者控除を受けられる可能性があります。要介護認定=障害者認定ではありませんが、自治体によっては、要介護認定をうけた方を障害者控除の対象としていることがあるからです。
国税庁による障害者控除額は以下の通りです。
区分 | 控除額 |
障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 |
同居特別障害者 | 75万円 |
自治体によって障害者控除の対象が「要介護認定2以上」「要介護認定3以上」などと異なるため、まずはお住まいの自治体に問いあわせてみましょう。
介護付き有料老人ホームと似ている施設
介護付き有料老人ホームと似ている施設をご紹介します。それぞれの特徴が理解できるため、施設選択の際の参考にしてください。
住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームを比較する
住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの違いは以下の通りです。大きな違いは、住宅型有料老人ホームで介護サービスを受ける場合には、外部の業者と契約しなければなりません。
項目 | 住宅型有料老人ホーム | 介護付き有料老人ホーム |
施設の特徴 | 自立~要介護高齢者が生活支援を受ける事を目的とする。 | 要介護高齢者が、介護・生活支援を受ける事を目的とする。 |
入居対象者 | 自立・要支援1~要介護5 | 自立・要支援1~要介護5 |
サービス内容 | 身体介護/生活支援/健康管理 | 介護サービス/生活支援/健康管理 |
費用 | 入居一時金:0~数千万円
月額料金:15~30万円 |
入居一時金:0~数千万円
月額料金:15~40万円 |
*サービス内容や費用は施設により異なります。
どちらの施設も費用に大きな差はありませんが、住宅型有料老人ホームの場合は介護サービスの利用が増えると費用が増えるというデメリットが。介護サービスの利用が少ない場合には住宅型有料老人ホーム、24時間介護サービスが必要な場合には介護付き有料老人ホームが適しているといえるでしょう。
特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホームを比較する
特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホームの違いは以下の通りです。どちらも施設の職員から介護サービスを受ける事ができますが、費用に差があります。
項目 | 特別養護老人ホーム | 介護付き有料老人ホーム |
施設の特徴 | 要介護高齢者が身体介護・生活支援を受ける事を目的とする。 | 要介護高齢者が、介護・生活支援を受ける事を目的とする。 |
入居対象者 | 要介護3以上 | 自立・要支援1~要介護5 |
サービス内容 | 介護サービス/生活支援/健康管理 | 介護サービス/生活支援/健康管理 |
費用 | 入居一時金:なし
月額料金:10~20万円 |
入居一時金:0~数千万円
月額料金:15~40万円 |
*サービス内容や費用は施設により異なります。
特別養護老人ホームは、その安さゆえに待機期間が長くなるケースが多くあります。要介護度が高い状況にあっても待機できるという方は、特別養護老人ホームを検討しても良いでしょう。
費用の根拠を明確にして納得した介護付き有料老人ホームを選ぼう
介護付き有料老人ホームは介護職員が24時間常駐しているため、充実した介護サービスを受ける事ができます。介護付き有料老人ホームには種類があり、施設によって入居条件や特徴・費用もさまざまです。
実際に見学して介護職員の様子や医療サービス提供の有無、設備の様子などを把握し、費用の根拠を明らかにしましょう。またご家族に必要なサービスを明確にしておくと、費用に納得したうえで施設を選ぶことができますよ。